Inugami's blog

Inugami’s blog

犬上です。極まれに何か書いたりします。

あゝ、稲田姫様(前編)

 

※この記事は、サークル「東大幻想郷(以下、GUT)」の、アドベントカレンダー2020内の記事の1つとして書かれたものです。

東方Projectが分からない知人向けに最初の方に脚注が入っています。ご存じの方は特に脚注はスルーしていただいても多分大丈夫です。

※ところどころコロナ禍等における暗めの話が入ります。もしかしたら、人によっては読み飛ばしていただいた方が良いかもしれません。

 

初めに

 

皆さん、こんにちは。

あるいは、初めましての方も多いかもしれません。犬上と申します。

 

突然ですが、タイトルを見て、皆さんはどのような記事を想像されましたか?

 

恐らく、東方サークル[1]アドベントカレンダーだし、タイトルに「稲田姫様」と入っているので、秋姉妹[2]関連で何か書くのか。

あるいはGUTというサークルには、東方原作[3]に関して大量のスコアタ[4]勢やルナシューター[5]が存在するので、原作の風神録関連で何か攻略法とかの話だろうか、と思われた方も多かったのではないかと思われます。

 

ですが、今回の御話は残念ながら秋姉妹関連では無く、それどころか原作関連でもありません。

どちらかというと、ちっぽけではありますが、人生とか、信仰とかの話になります。

 

 

ただ、先週はキャパシティを完全にオーバーして深夜5時とかまで起きていたりした日があるような状態だったので、少し書くのが遅くなってしまいました。

なので、本来の投稿日である19日当日の午後になってもせっせと記事を書いていたのですがようやく気づいたのです。

 

あれ、これ前置きが長すぎて書き上がらないうえに、前編だけで23日の枠に分割してもタイトル詐欺になりそうじゃない???

 

ということで、思い切って逆張りをして、いっそ後編から公開してもらうことにしました。そのため、前編が本日公開となっています。

 

楽しく読んでいただけましたら、幸いです。

 

 

 

1.経緯

 

ことの契機は、人生で何度目かの「その時一番の挫折」を味わったところから始まります。

有り体にいえば、今年度の春採用が終了する7月までに内定をいただけませんでした。

 

今年はコロナ禍によって採用市場は大混乱し、ひどい目に遇いました。

また、コロナ禍のせいで狂った予定を責任者として取り戻すために色々と就活以外で奮闘しなければいけない場面も多く、何兎かを同時に追う状況で精神的にすり減りました。

それでも何とか頑張り続け、6月中までは何とか良い具合に回すことが出来て東証一部上場企業の何社かに最終選考まで呼ばれていたがために、特に反動でダメージが大きかったことを今でも記憶しています。

 

それだけに思う所も色々と存在して、今もつらつらと書いていたら気づけばどんどん関連する様々な恨み辛みがあふれ出て、A4サイズ4枚分ものドロドロとした内容の下書きが仕上がってしまうほどです。

ですが、それ自体は今回の本題とは関係ないので削除しました。

 

今回の本題は恨みつらみを聞かせることではなく、「そのような辛いときにどのようなアプローチがとれるか」と、「稲田姫様は神!」という話だからです。

 

「人生山あり谷あり」とは昔から言われることですが、だれの人生にも辛いことや手ひどい挫折感の1つや2つ、いくつかはあるものです。それは、私一人の人生ですらそうです。

 

例えば、一番わかりやすい例だと私は大学受験でも浪人していますが、不合格でもあとちょっとだった人々と違って、世間的には例えもう1年挑んでも到底合格など望めないと言われているような落ち方をしました。

最終的には志望校に合格できたとは言え、高校時代の知人の中には露骨に嘲笑してくる人も居ましたし、精神的なプレッシャーも結構あったことを覚えています。

 

浪人未経験の方向けにもう少し御説明すると、浪人生向けの校舎というものは最初こそ皆楽しそうなのですが、受験前になると淀んだ重苦しい空気がするようになったりします。

例えば僕の知人は発狂して、せっかく彼の第2志望校の合格を貰ったのにそれを捨てて東大に全てを賭けて捨て身の突撃をして失敗し、より志望度の低い大学へ行きました。

ですが、皆自分を保つのに精いっぱいで、誰も彼を止めて助けられない。意外とそんな世界です。

 

もちろん浪人できただけ恵まれているとか、最後お前は志望校受かっただろ等と思われる方もいらっしゃるとは思います。

そうおっしゃるのも御尤もです。僕にそれは否定できませんし、今でも周囲の環境に深く感謝しています。

 

なので、そのような方は、例えば「夜と霧」はいかがでしょうか。

 

「夜と霧」は、ヴィクトール・フランクルという人によって1946年に出版された戦争体験記です。

フランクルは非常に優秀な人で、彼はオーストリア出身なのですが、あの心理学の大御所であるアドラーフロイトに直接師事し、ウィーン大学医学部精神科教授やウィーン市立病院神経科部長などを歴任したという凄腕の精神科医であり、脳外科医です。

 

一見ここまでの経歴では彼は非常に幸せそうな経歴なのですが、彼の人生はここから暗転を迎えます。ナチスオーストリア併合です。

ユダヤ人であった彼はまず全ての役職を解かれ、そして最終的には収容所送りになります。そして家族全てを失い、以前に自身の確立したロゴセラピーの手順を自身に適用し、運命の神が偶然微笑みかけた彼独りだけが収容所から生還することになります。

 

ここでヴィクトール・フランクルを挙げたのは後でも少し出てくるからなのですが、他にも、うちの祖父の話はいかがですか。

 

うちの祖父は戦前、曽祖父の仕事の関係で旧植民地に住んでいたのですが、詳しい話はともかく戦争の中で両親を失います。そして更に昭和20年には、通っていた旧制中学校を繰上げ卒業させられ徴兵されます。

 

たまに「旧制中学生は学徒出陣していない」と詳しい方に叱られることがあるのですが、それは本土の話です。

一部の植民地や離島では、当時から内務省憲法違反の可能性を指摘されていた陸軍省令改正第58号及び改正第59号により、14歳以上の男子を「志願」の名目で防衛招集することが出来ました。沖縄の「鉄血勤皇隊」の話が有名ですね。

 

それでも激戦地に送られなかっただけ良かったのでしょう。

祖父は米軍の飛行機と命がけで鬼ごっこしたりすることはあったようですが、生きて終戦を迎えることになります。そして、光復による資産接収後、遺骨と身の回りの品だけを手に兄妹で本土へ引き揚げます。

 

人生は、本当に様々です。

そのため、私の経験がまだまだ甘く見えるという人も沢山この世に居るかもしれないように、あなたのしんどさが他人の目にどう映るかはわかりません。

ですが、あなたの人生には必ず貴方が「もうだめだ」と思うようなしんどいことや辛いことが、起こらないに越したことはありませんが、起こる確率というのは低くないでしょう。

 

あるいは、そこまでいかなくても、日常的にストレス的な状況が延々と続くような状況だって、あったりしますよね。

 

そんなときに、どうやってその「しんどさ」と付き合って生きてゆくのか。

 

今回は、しんどい期間に探し求めて収拾し、そして助けられた情報の一部を共有したいと思ってこの文章を書いています。

 

いつか、どこかの、しんどい貴方へ。

 

※この話は飽くまで応急処置的な話や、ある程度のしんどさまでを乗り切るための話です。もしも諸般のストレス症状が2週間以上続く場合は、精神科や心療内科、またはカウンセリング等の受診を検討してください。

 

 

2.ストレスと「しんどさ」

2-1.ストレスを測る

 

さて、ではそもそも精神的に「しんどい」状況とは一体何なのでしょうか。

 

例えば、軽度なものだと「期待されていた仕事に失敗してしまって落ち込んだ」みたいなものから、結構しんどめのものだと「研究が上手くいかなくて焦っているのに、そのことでラボの助教に叱り飛ばされた」とか、色々あると思います。

ただ、個々の状況では残念ながら、それがどのくらいあなたのストレスになっているのか分からないと思います。

 

そのため、公的機関等が出しているストレスチェッカーを使うことが考えられます。

たとえば、NHK健康チャンネル内のHP「ストレスとは?原因や簡単にできるストレスチェックのやり方」には、心療内科の教授が編集した簡易的なストレスチェック表が載っています。

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NHKストレスとは?原因や簡単にできるストレスチェックのやり方」より

また、公的機関だと厚生労働省こころの耳」でも、ストレスチェックを受けることが出来ます。ただし、基本的には働く方向けだったり、具体的な方策等は少なめだったりします。

 

結果はいかがでしたか?

ちなみに、この前までヤバかった当時の私のNHKストレスチェック表は35点。本文中で専門家への相談等が推奨されているレベルでしたが、現在の私の点数は18点で黄色信号未満でした。

また、厚労省のチェックでは当時は「非常に高いと考えられます」で産業医等への相談が推奨されていましたが、現在は「低いと考えられます」とかでした。

 

さて、ストレスチェッカーをしているといくつか気になる症状が出てくることがあります。例えば、「朝から寝たのにぐったり疲れている」とか、「いつも憂鬱である」とか。

 

健康な状態だと「朝からぐったり疲れているって、まぁ怠いってことかな。それならよくあるわ。はい、『よくある』。うわ、私高めかよ(笑)」などと思ったりもしますが、これはもしかしたら、もう少し深刻な話かもしれません。

例えば、「寝たはずなのに1時間半以上、身体が1日中働いて帰ってきた時のようにしんどくて、起き上がれないくらいぐったりしている」とか。

なので、まぁ寝起きに怠いのは多分「しばしばある」レベルでは無いでしょうか。

 

え、何故かって?

実際にそうなったからです。

 

実際、ストレスチェッカーの例に限らず、ストレス反応とは様々なものです。

 

例えば、それまでは夜に目が開くことも無く8時間眠れたのに、必ず1時間半ごとに目が覚めるようになり、6時間以上は目が冴えてしまって眠いのに眠れないとか。

あるいは、平易な文章を読んでいるはずなのに目が滑って文字が音読しないと読めず、終いには、ただ授業を聞いているだけかつそんなに難しい内容でも無いはずなのに、何も頭に入って来ず、どんなに集中しようとしても理解できないとか。

 

それとも、もはや身体が熱こそないものの風邪の時のように異常に怠くて椅子に座っていられず、オンライン授業や在宅勤務中に近くのベットにへたり込んでしまったりとか。

ただやることをしているだけなのに、突然涙が零れ落ちて止まらなくなったりとか。

胸のあたりがいつもずっしりと重くて、時々締め付けられるように息が出来ない、とか。

 

ただし、そこまで来ると最早あなたはストレスチェックをしている、などという状態ではない可能性もあります。

 

2-2.抑うつ症状とストレス

 

たとえば、NHK軽症のうつ病の症状とチェック方法、基本的な治療、効果的なセルフケアを紹介」や、「注意が必要な中等症や重症のうつ病とは?診断基準、薬などの治療法」を見てみましょう。

 

うつ病の簡易チェック表が載っていると思います。

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NHK軽症のうつ病の症状とチェック方法、基本的な治療、効果的なセルフケアを紹介」より

上記の表は軽症の物ですが、オレンジ色の項目の二つ目が欠落したうえで合わせて6~7つ当てはまれば中等症の可能性が、8つ以上当てはまると重症の可能性が示唆されます。

あなたは幾つ当てはまりましたか?

 

最近の私は「当てはまる」の基準によるかな。ガバガバ基準なら4つくらいかな…、程度ですが、追い詰められ始めていた時の私は基準をガバガバにしなくても5つで、かつやるべきことは回せる状態。

そして、一番追い詰められていた時の私は8つ確実に当てはまり、もはや最低限のことにも手が回らない状態でした。

 

ただ、気を付けてほしいのは、これはあくまで「専門家に相談するための目安としてのセルフチェック」だということで、あなたの自己診断で「自分はうつ病に間違いない」とか思うのはかえって危険であり避けるべきだとされています。(逆にいえば、点数的には大丈夫だからと違和感を覚えてもそのまま頑張り続けるのも危険です。)

記事に書いてあるように診断自体やその基準は、他の病気との区別や日常生活にどのくらい支障をきたしているかによって変化してくるからです。

 

実際、僕が深刻な状況から抜け出した後でカウンセリングルームに行ってみた際の臨床心理士さんの話は「病院にかかったら『適応障害』の診断が下りた可能性が十分にある」というものでした。

この「適応障害」は医学的には似たような「抑うつ症候群」の一部へ入るものではあるものの、いわゆる「うつ病」とは少し違うものです。

(詳しくは、NHK強いストレスが原因の適応障害。症状や治療法を解説」から御覧になれます。)

 

つまり、万が一深刻なレベルで当てはまった方は、産業医や大学病院の精神科、大学のカウンセリングルームや保健センター、地域自治体のヒアリングサービスが等に相談すべきであり、自己診断で誤った対処法を繰り返すことは望ましくない可能性が高くあります。

(相談先が分からない場合は、先の厚生労働省こころの耳」内の「相談する」内でお探しいただけます。)

 

また、相談は可能なら早いうちにするべきです。

 

例えば私の場合は、状況が深刻になり始めたときは先のように、まだ睡眠等に異常をきたし始め自身でも違和感をおぼえる程度の憂鬱さを感じては居たものの、一生懸命やることは回せて必死で動き続けることが出来ました。

しかし、一時的な休息期間を挟んだのちの3か月後には、逆にやるべきことは減ったはずなのにもはや最低限のことすら完全には回せない状態に陥りました。

 

ただ、実際は難しいもので、当時の私の走り書きのメモが残っています。

部屋で泣き叫んで一時的に楽になった時に今のうちにと急いで書いたものですが、上記のような抑うつ症状と呼ばれる様々なストレス反応のメモの傍に、追加で書いてあります。

 

「感情と理性がすれ違う。おかしいと理性は訴えているが、どうにもおかしいという風に心から思えない。」

「おかしいと考えても修正できない。『カウンセリングを受けたら誰かに聞かれてしまう』『診断が下りたら人生が終わる』『誰かに少しでも助けを求めたら迷惑になってしまうから助けは求めないべき』などに関しては、自分でも認知がどうやら歪んでいるらしいとい考えているが、残念ながら自分で納得というか、修正することが出来ず固定パターンとして当たり前となっている。多分確実におかしいとは思うが、治せる気がしない。」

 

残念ながら、パソコン上のデスクトップに置いておいたので何か書いたことはかろうじて記憶にあるのですが、何を書いたかの詳細は記憶にありませんでした。

当時の記憶の一部が欠落しています。覚えているのは「『専門家に相談しようと思う』こと自体がしんどかった」ことくらいです。

 

この記事を書くために改めて見返して「そんな感じだったかな」という感じですが、なので行動を起こすのは実際には少し難しいのかもしれません。私も結局、一番つらい時期には行動を起こせませんでした。

 

今思うとカウンセリングルームは受診しておくべきだったかなという感じです。

なにせカウンセリングルームは診断が出ないので、当時の「診断が下ったらどうなるのか」という恐怖感とは無縁だからです。

できたかどうかは別として。

 

ちょっと怖い話ばかりしてきましたが、そもそもストレスってこんなに身体に何か起こすのか、という疑念がある方もいらっしゃるでしょう。

 

大学の保健センターが9月にやっていた「コロナ禍のストレスにどう向き合うか」的な講演のメモが正しければ、ストレッサー自体は様々だがストレス反応が身体に出やすいかどうかは遺伝等で人それぞれであり、そもそもストレスかどうかも捉え方や対処能力により様々とのことです。

 

つまり、例えば私の何人か居る就活に失敗した友人たちの中でも「親に1年は留年していいって元から言われているから、もう1年遊べるわwww」とか笑っていた友人は一人妙に元気だったように、同じ出来事でも見方で大きく変わるということです。

 

そして彼が妙に元気な原因を考えると、果たしてストレス反応の出やすさの原因が、本当に「個人の強さ」や「責任感の無さ」なんて問題のものかとは、とても思えません。

ですが、かといって個人の遺伝が偶然強く症状が出づらいだけの人もこの世には居ると思うので、結局は個人差だけど、少なくとも貴方が「精神的に弱いから」とかいうネズミも食わないような腐った論理では無いということではないでしょうか。

 

3.心理学的に「しんどさ」に付き合う

さて、ここまでは「ストレスとは何ぞや」とかの話でしたが、次に「ストレスと付き合う方法」を見て行きましょう。

 

先のように諸症状が2週間以上続く方は、このような応急対処をしている場合ではなく、まず何がしかの信頼できる相談機関で専門家に相談すべき状況なのですが、そこまでではないという方向けです。

 

残念ながら世間では深刻な状況が続く現在ですが、そのアウトプットの1つとして諸機関が必死になって、いかに現状と付き合うかという系統の情報を発信しています。

 

インターネット上には様々な信頼できない情報も紛れ込んでおり、玉石混交なのが心配な所でありますが、その中でも信頼できる機関が発信している情報もいくつかあります。(この文章も、どちらかと言えば「石」かもしれませんね(笑)。)

 

例えば、例えば東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野が運用する「いまここケア」や、国立精神・神経医療研究センターの「コロナ心の支援情報」の項目「不安」、厚生労働省の「こころの耳」内の「ストレスへの対処」、「NHK健康チャンネル」内の「こころの症状」などです。

 

本質的にはこれらを読み込んで自身で勉強してもらうのが専門家でもない私が抜粋した情報などよりも極めて効果的かつ正確で良いはずですが、「そんな時間無い」という方や「まだ興味が無いから概要だけくれ」という方向けに、簡単に紹介します。

 

3-1.ストレス・コーピング

 

例えば、一番初めに挙げられることがあるとすれば、それは「ストレス・コーピング」という概念です。

 

皆さんはしんどい時に何をしますか?

例えば趣味のガーデニングに埋没したりだとか、あるいはとりあえず友人と話す、という方も多いと思います。そういう、いわばストレス状況に晒された時に少しでも気が楽になるよう何をしようか、ということが「ストレス・コーピング」であり、それを纏めた表を作ったりして沢山持っておくと良いとされます。

(「ストレス・コーピング」について詳しく御覧になりたい方は、NHKストレス対策徹底解説 原因や解消法、注意したい病気」等を御覧ください。)

 

しかし、ここには少し落とし穴があります。

 大学で心理学の専門家が12月に行っていた講演で私がとったメモが間違っていなければ、「適切なストレス・コーピング」と「不適切なストレス・コーピング」があるとされるのです。

 

では、不適切なストレス・コーピングとは何か。

 

答えは、「その場しのぎで、長期的にはストレスを増大させてしまう物」です。

 

例えば、「お酒を浴びるように飲む」が分かりやすいのではないでしょうか。

確かにお酒を飲めば一時的に楽になる可能性は高いです。しかし、最終的には貴方にいくつかの病気のリスク、例えばアルコール依存症だとか、肝硬変だとか。そういう物をもたらすことになります。また、酒癖の悪さ等による酒席上の失敗等のリスクもあるかもしれません。

 

また、他にも私が正確にメモを取れているならば、「タバコ」「テレビの見過ぎ」「寝すぎ」「現実逃避」「お菓子のやけ食い」「周囲に当たり散らす」「先送りの癖」「独りで引きこもる」こと等が、あまり適切でないコーピングの例として挙げられています。

 

では、何がコーピングとして適切なのか。

例えば、「いまここケア」内の項目の一つ「『3つの密』に当てはまらない『安全な活動』を考えてみよう」には、考え方や沢山の事例が紹介されています。

 

その中でもリラックスをもたらすものとしては、例えばストレッチなどが挙げられます。ストレッチのやり方に関しては、NHK体からリラックス!体を温めるトレーニング」や、同「体からリラックス!筋肉をゆるめるトレーニング」の他に、厚生労働省の妙に遊び心あるサイト「東京ストレッチ物語」とかがありますが、流石に細かく紹介していられないので、今回は割愛します。

 

また、アロマだとか好きなお茶を楽しむとか、花を眺めるというのもオススメではありますが、やっぱり今回は割愛します。

 

今回注目していただきたいのは、その中に入っている見慣れない謎の横文字。

 

そう、「マインドフルネス」です。

何だか胡散臭い感じの横文字ですね(笑)

 

3-2.マインドフルネス

 

マインドフルネスとは何か。

 

詳しくはWikipediaでも読んでいただければいいのかなという感じですが、元々は仏教における八正道の1つ「正念」の英語訳であり、ベトナム出身の臨済宗の禅僧ティク・ナト・ハンなどが広めた概念とされます。

そう、仏教用語です。

 

日本にも仏教は根付いているので、なんかその辺のヤバいヒーリング団体とかがやってそうな胡散臭さ自体は少し減ったかなという感じでありますが、一方で宗教がらみとなると、これが科学的なものかどうか少し心配になってくるかもしれません。

ですが、ご安心ください。

 

心理学的な「マインドフルネスストレス低減法」の始まりは、そういったアメリカ内での瞑想活動に参加し興味をいだいた分子生物学者でマサチューセッツ大学教授のジョン・カバット・ジンが始めたものです。

彼が始めたマインドフルネスストレス低減法は、瞬く間に効果を上げて広がっていくことになります。それも、科学的なエビデンスを伴った形で。

 

結果として今や心理療法の新潮流としてアメリ国立衛生研究所補助金をヨガやメディテーション以上にもらっているマインドフルネスですが、その概念は結構簡潔に表されます。

 

  1. 今ここでの経験に
  2. 評価や判断を加えることなく
  3. 能動的に注意を向けること
気持ちが落ち着かないときのために -マインドフルネス入門-」(いまここケア)より

 

たったそれだけです。

そのため、広義には、マインドフルネスとはそれ自体が特殊な方法であるというものではなく、「マインドフルネス的なもの」が意外とこの世の中にはあるということになります。

 

何故マインドフルネスがストレスを低減させ抑うつ状態に効くのか、というのは簡単にいえば、滅茶苦茶賢い人間の脳が失敗の繰り返しを避けたり将来の危険を避けるために、ネガティブなことを思い出して反芻することや、逆に未来を過剰にシミュレートして不安になることを防ぐことが出来るかららしいのですが、詳しくは上記のサイト等を御覧ください。

あと、「デフォルト・ネットワーク・システム」と調べると、色々出てきます。

 

何はともあれ、マインドフルネスとはそういう物なのですが、では具体的にはどんなものがあるのか。

例えば有名なのは、音に耳を澄ます瞑想や呼吸法、セルフ・コンパッションのエクササイズとかです。いわゆる狭義のマインドフルネスはこちらですね。

 

このうち、呼吸法は「気持ちが落ち着かないときのために -マインドフルネス入門-」(いまここケア)や、NHKの「『マインドフルネス』とは?めい想の方法・効果と『呼吸のめい想』のやり方」から学ぶことが。

音に耳を澄ます瞑想はNHKマインドフルネスめい想 ②音に耳を澄ますめい想」から。また、セルフコンパッションはの「苦しい気持ちを落ち着かせるセルフコンパッションのエクササイズ」(いまここケア)から学んでいただけますが、このうちのセルフコンパッションはどちらかというと「ザ・療法」という感じで、先の二つがより日常的な雰囲気の物になります。

 

もしかすると、このうちの呼吸法が一番手っ取り早く、そして禅に近くて馴染みの深いものかもしれません。

 

禅というとあの座り方(結跏趺坐)を想像すると思うのですが、そもそも究極的にはあれは背筋が伸びる姿勢だという話で、禅僧以外は出来る必要はありません。

例えば、臨済宗と違って警策で強制的に叩かれたり、公案について考えているのではなく無と化していたり、人の方でなく壁の方を向いていたり。より厳しい曹洞宗のホームページですら、普通に椅子座禅のページが存在しています。

また、座禅のページを見ても結跏趺坐だけでなく半跏趺坐が普通に紹介されています。在家の信者には結跏趺坐は不要なのです。

 

ましてや、マインドフルネス呼吸法に至っては最早足の組み方など関係ありません。

ただ背を椅子の背もたれから離し、背筋を伸ばして、吐く息と吸う息にひたすら「膨らんでるなぁ」とか「吐き切ってるなぁ」とか集中するだけ。

あとは雑念が浮かんだら、それを解き放つように再びゆっくり呼吸に集中しなおすだけです。

 

このとき、「頭を上から釣られるようなつもりで」とか「6秒3秒で」「8秒4秒で」とか言われたりしますが、それらも上記を実現するための具体例であり、究極的には可能であればなんでも良いことになります。

この2:1の呼吸というのも心理学的に落ち着きやすい呼吸だというだけの話で、マインドフルネスに絶対に必要な物では無いようです。

 

3-3.そのほかのストレス対処法

 

マインドフルネスに関して長々と書いてきましたが、もちろん、最初のストレッチやアロマ以外にもコーピングが存在します。

 

例えば、軽度の有酸素運動うつ病に対して非常によく効くことが医学論文でも実証されています。そしてそれは、ウォーキングでも良いとされています

 

他にも、不安が強いときには書き出してみるのが有効とされています。

書き出すことで、自身の中でグルグルと得体のしれない不安になっていたものが具体的に何であるかが分かるようになります。また、書きだしたことで、もしも忘れても後で思い出せるので良いやという気分にもなれるのです。

  

意識をそらすために、一週間以上先のことは考えないようにしてみたり、あるいは今可能なことに集中すること、掃除などをして注意をそらすことなども推奨されています。

 

あるいは、人間が居なければ犬や猫、ぬいぐるみ相手でも良いので、とにかく自分の言葉で思うことを表現して吐き出してしまうのも有効とのことです。

  

さらに、ダイアモンド・オンラインで精神科医の樺沢紫苑さんが書いた記事「精神科医が「絶対にやるべき!」と断言する朝のベスト習慣」によれば、朝の散歩がとても良いとされています。朝散歩が「朝日を浴び」「リズム運動である」ことで「セロトニン」の分泌に大変良いということが理由として挙げられています。

 

セロトニン自体は幸福感に影響する神経伝達物質であることで有名です。一部の抗うつ剤が、このセロトニンが再吸収されるのを阻害することによって濃度を増やすことで機能していることでも有名ですね。

 

また、「鬱になったらバナナを食え」という俗説でも非常に有名ですが、これはバナナがセロトニンの材料となる必須アミノ酸トリプトファン」を大量に含んでいるからです。

 

まぁ、有名だってだけで同じグラム数でみればヨーグルトや豆乳の方が大量に含んでいるうえに、確か更にその数倍の量を納豆やそばが含んでいるんですけどね。

ヨーグルトが推奨されない理由は動物性たんぱく質トリプトファンの取り込みを阻害するからです。そしてバナナが推奨されるのは、これを防止できるビタミンB6が多量に含まれているから。つまり、バナナヨーグルトが最強。

 

実際、追い詰められた時も途中でバナナヨーグルトを食べ始めたときは、記憶の反芻とか色々なものが起こりづらくなってビックリしたものです。プラシーボ効果かもしれないですし、最終的に追い詰められ始めてから3か月後位にはボロボロになっていたところを見ると、過信は禁物ですけど。

 

なお、同じ樺澤先生の記事「『うつ病の発症』コロナ収束後こそ注意すべき訳」では、

うつ病に関して、一般的に言えることですが、「大きなストレス」に直面しても、すぐに「うつ病」が発病するのは稀です。だいたい、2~3ヵ月かそれ以上のタイムラグがあります。

(中略)

うつ病とは、セロトニンという脳内物質が低下、枯渇した状態。私たちの脳には、ある程度のセロトニンの貯金があるので、すぐには枯渇しません、しかし苦しい状態が2~3ヵ月続くと、脳は耐えきれず「病気」として現れるのです。

東洋経済オンライン「『うつ病の発症』コロナ収束後こそ注意すべき訳」より

と記述されています。

追い詰められ始めてから実際にボロボロになるまでの3か月のタイムラグはまさしくこれだったのではないか、という気もします。

 

話を散歩に戻すと、散歩には「日光を浴びて」「リズム運動で」セロトニンを作れる機能以外にも、いろんな効果が期待されます。

 

例えば先のウォーキング代わりの抑うつに対処するための運動にもなりますし、あるいは散歩中に他所の家の前のガーデニングとかを見ることで、ストレス・コーピングの中で登場した「花を眺めて癒される」みたいなことも可能です。

 

さらには、歩くリズムに集中することで心が「今」に引き戻されるのでマインドフルネス的とすら言えるかもしれません。

 

そう、散歩は結構に良いストレス対処法なのです。

余談ですが、今はやりのガースー(笑)も朝散歩で有名ですから、首相に上り詰められるくらいに効果があるのかもしれません。

 

他にも、「日光を浴びて」「リズム運動」といえばよく公園とかでラジオ体操をしている人とかも居ますけれど、あれも軽度の運動かつ多少自然のある場所で、リズム感があるうえに元々健康促進用に開発されているので、合理的なのかもしれません。

 

また、ストレスと付き合うためには「人との付き合いを絶やさない」というのも大切だそうです。

 

実際、家族以外とは顔を合わせなくなった今年は最早オンライン面接で誰かの顔を見られるのすら何だかホッとして、追い詰められてからもキャリアコンサルタントとの面談だとかで話すと状況は大して変わってないのに意味も無く心が楽になったものですが、これには「オキシトシン」が関係するそうです。

 

オキシトシン自体は「愛情ホルモン」だとか「幸せホルモン」だとかと呼ばれ、主にスキンシップ等々、恋愛的サムシングで発生することが有名です。そして、それを聞くと恋人が居ない人々は「ちぇ」と思われるでしょう。

 

ですが別にそれは有名だというだけで、実際のところオキシトシンは動物とのスキンシップや、何ならお互いに顔を見て話すだけでも分泌されるそうです。

先ほども出てきた樺沢先生の記事「『うつ病の発症』コロナ収束後こそ注意すべき訳」にも、そのような話が登場します。

 

ちなみにこの記事は、先ほどの不安の書き出しをそのまま書いてあるわけではありませんが、アウトプットが心理学的に良いというの話の根拠でもあります。

 

また、コミュニケーションを保つこと自体の大切さも様々な媒体で訴えられています。

 

たとえば、国立精神・神経医療研究センター「こころの健康を保つために大切なこと」や、日本うつ病学会「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行下における、こころの健康維持のコツ」などでもそれは訴えられています。

 

孤独を感じることは、精神の健康には大変よろしくないようです。

 

3-4.生活習慣を考える

 

さて、ここまではストレス発生後の対処法的な話だったのですが、そもそも一方で、実は「ストレスを発生させづらい生活習慣」というものもまた、存在するようです。

 

例えば、前出の国立精神・神経医療研究センター「こころの健康を保つために大切なこと」や、日本うつ病学会「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行下における、こころの健康維持のコツ」、12月の大学内講演のメモを確認してみると、情報の過剰な閲覧に注意するように書かれています。

 

今やインターネット時代もSNS時代を迎えて巷には情報が氾濫しており、不正確な情報や煽り立てるような情報が蔓延しているのは歴然たる事実です。

それに加えて、旧来のテレビや新聞等の情報媒体も昔ほどの勢いを失ったわけでなく、日々我々は情報を浴びるように摂取している状態と言えます。

 

そのため、ついつい情報収集を意識して。あるいは特にSNS等だとわざわざニュース等を見ようとしなくても、無意識のうちに過剰にみている可能性があります。

さらには、人間の認知バイアスの関係で、自分でネガティブな方向へ偏った情報を集めてしまうこともあるようです。

 

そして、それを防ぐためには「信頼できる情報源を使用」し、「ニュースを見るのは夕方の30分だけ」など時間を区切るのが良いそうです。

 

また、それ以外にも「生活のリズムを維持すること」が主張されています。

 

人間の体内時計そのものがずれているという話は前出の「『うつ病の発症』コロナ収束後こそ注意すべき訳」にも登場しますが、体内時計のリズムを維持することが重要なようです。

これは自律神経等と関わっているらしいですが、基本的にはルーティーンのように「決まった日課や週課はなるべく同じ時間に」することが重要なようです。

 

日課には、家事・仕事・食事・運動などが挙げられており、特に一番重要なのは「朝起きる時間を一定にする」ことだそうです。

これは朝型人間になって必ず朝6時に起床しろという類の話ではなく、午前中の決まった時間に起きなさい、程度の話のようです。

 

一方、寝る時間に関しては一部でやはり同じ時間になるべくそろえるよう言及はあるものの、起床時間ほどは重要でないのか、特に言及がないものも多いです。

 

ただ、眠りやすくするためには「朝起きたら朝日を浴び」「昼寝は30分以内」として、「夜寝る前は明るい光は避ける」ことが大切なようです。

 

寝る前の明るすぎる光の典型的な例はスマホやパソコンの光のようですが、どうしてもやめられない方は、最近は一応夜間モードとかブルーライトカットアプリとかもあるので、そういうものも効くかもしれません。

 

私は消灯後はスマホの光を90%遮断することを覚えて、多少眠気を取り戻しました。 

 

あとは、本人の思考法自体にも工夫が出来るようです。

 

例えば、随分前に出てきたヴィクトール・フランクルという精神科医の作品「夜と霧」では「生きる意味を見出すこと」が重視されています。

また、ハーバードビジネスレヴューの「回復力ある人の特徴」を研究した論文でも重要視されたものに、「起きていることに意味を見出す」というものがあるそうです。

 

詳しく触れ過ぎると長くなるので紹介にとどめますが、とにかく、意味づけをするというのもまた、ストレスへの対応策の1つになりえるようです。

 

3-5.散歩×マインドフルネス…?

さて、ここまでは心理学的な対処法等をひたすら列挙し紹介してきましたが、一方で、これらに載っていなくても行って救われていた行為が1つあります。

 

それが、「神社への参拝」です。

さぁ、ようやく題名に関連する話が出てきました。

そして、私はこれこそが今まで挙げてきた対処法を複合したものなのではないかと、最近考えるようになってきました。

 

いまからでもとにかく詳しくお話ししたいところですが、文章もだいぶん長くなり時間の方もありませんので、これに関しては次回、まずは題名に関するお話を少ししてから、御話したいと思います。

 

後編へ続く

inugami1900.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[1] 一般的にはコミック・マーケット等に、同人ゲーム「東方Project」関連の創作物を出展している同人サークルを指すが、GUTは大学のサークルとしての面が非常に強い。

[2] 東方Project内のゲーム「東方風神録」に登場するキャラクターの氏名。一番最初のボスであり、妹の「秋穣子」のテーマ曲が「稲田姫様に叱られるから」という名前の、非常に店舗が良く明るい曲。

[3] 東方Projectは2次創作が盛んな分野なので、元々の作者が作ったゲームや書籍は「原作」と呼ばれる。

[4] スコア・アタックの略。点数が高いほど強い。国内一桁レベルの人が居たりして怖い。

[5] ゲームの最高難易度「ルナティック」をプレイできる人たちの称号。